猫入り水晶


猫入り水晶という鉱物がある。手毬(てまり)くらいの大きさの水晶に、小さな猫が閉じこめられている。いつの時代からその状態なのかわからない。猫はずっと香箱座りで、うとうと居眠り。たまに三日月のように細い目を開いてあくびをする。なにをしてくれるとも思えないが、嫁入り道具として重宝されるらしい。姉さまも、母上から譲り受けたものを持って、遠い異国に旅立った。



   (おしまい)