超能力持ち令嬢ですが冷徹理屈屋公爵に「その力を貸してくれ」と言われて偽装結婚することになりました

ユーリの髪を掴む王子の腕を掴むテオドールがいた。

「他人の髪を許可なく掴む行為は暴行罪だ」

無表情で言い放つテオドールは王子よりも背が高く、迫力に圧倒された王子は舌打ちをして王宮の方に逃げていった。

方々から安堵の溜め息が聞こえて来る中、ユーリはテオドールの方を向く。

「どうして僕を助けたの? 僕はキミと話したことがないし、王族を敵に回したらキミの不利益になるのに」

ユーリに問いかけられたテオドールは無表情のまま、少しだけ首を傾げた。

「? 100%君が被害者で、あの人間が加害者だからだが」

ユーリは衝撃を受けた。

立場関係なく、公平を貫ける貴族がいるなんて!

「ありがとう、テオドール」

ユーリは心からの笑顔をテオドールに向けた。

「ああ」
「僕はユーリ・フォラツ。困ったことがあったら、僕が力になるよ」
「困っているわけではないが、会話が続かないので、教えてほしい」
「いいよ!」

こうして二人は、お互いに不得手な部分を補い合う仲になったのだ。

ちなみに△△王国から何か言われるかと身構えていたが何もなかった。
恐らく、王子は恥ずかしくて言えなかったのだろう。

ーー余談だが、数年後。
この王子、何やら庇いきれない大罪を犯して廃嫡となったそうだ。