本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


「いち、ままは……?」
「ママは必ず帰ってくるから、一緒に待ってような」
「まま、くる?」
「あぁ。ちゃんと維月と李月のところに帰ってくる」

力強く頷く一哉の返事に安心したのか、ふたりは彼に抱きついたままうとうとし始める。朝早くに家を出てたくさん遊んだし、お腹がいっぱいになって急に眠くなったのだろう。

一哉は小さな背中をとんとんと優しく叩きながら、野々花に視線を向けた。

「ありがとう。ふたりと一緒にいてくれるのが宮部さんで、本当によかった」
「そんな、私はなにも……」
「いや。君の優しさや笑顔に救われてる。双子だけじゃなく、俺も」

そう言って、彼は笑みを浮かべた。職場で見る硬質な雰囲気ではなく、彼の素の表情。隙のないスーツ姿の彼も怜悧で見惚れるほどのオーラがあるけれど、野々花はこの柔らかさを感じる笑顔が好きだなぁと思う。