けれど、それを子供たちが理解するのはまだ難しいし、寂しい気持ちがなくなるわけではない。
(まだ二歳にもなってないんだもん。長くお母さんと離れてたら寂しいに決まってるよね)
母親に構ってもらえない寂しさは、野々花にも覚えがある。
どこかに長期間預けられたり、『お姉ちゃんなんだから』という理不尽な言葉を投げられたりもしなかったけれど、妹や弟の世話に追われていた両親は長女である野々花に構っている余裕はなかった。
決して愛されなかったわけではない。むしろ大切に思われていると理解していたから、懸命に働いて自分たちを育ててくれる両親に負担をかけたくなくて、いつも「大丈夫」「私がしっかりしなくちゃ」と自分で自分を鼓舞していた。弱音や泣き言を言えない性格なのは、そうした環境が起因していると感じている。
野々花は双子が投げた紙皿やフォークを脇に寄せて双子の前に膝をつくと、両手でぎゅっと力強くふたつの小さな身体を抱きしめた。
「ママに会えなくて寂しいよね」



