その様子をじっと見つめたまま、李月がぽつりと呟く。
「……りちゅきの、ままは?」
その声は涙に濡れていて、野々花はハッとして食事の手を止めた。一哉も同じように箸を置き、李月に向き直る。
「李月、ママは大切なお仕事に行くって言ってただろ」
「やだ!」
「いちゅきも、やだ!」
ふたりは全身で不満を訴えるかのように、持っていたお弁当用の紙皿とプラスチックのフォークを投げた。きっと隣の家族を見て、母親が恋しくなってしまったのだろう。もしかしたら、最近のやんちゃぶりは寂しさの裏返しだったのかもしれない。そう思うと胸がぎゅっと締めつけられた。
母親である美月にも事情があって海外に行く決断をしたのだろうし、それを責めるつもりは毛頭ない。こうして家族の力を借りているとはいえ、離婚してひとりで双子を育てているのだから頭が下がる思いだ。



