本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


自分たちは家族に見られていて、一哉と夫婦だと思われているのだと理解した途端、恥ずかしいやら申し訳ないやらで感情がパニックになる。一哉もそんな女性たちの声が聞こえていたのか、野々花と目が合うとイタズラっぽい笑みを見せた。

「ほら、写真撮るから笑って。奥さん」
「いっ、一哉さん……!」

からかわれて真っ赤になる野々花を見て、一哉は楽しそうに声を上げて笑ったのだった。

正午を過ぎ、芝生広場で野々花が作ったお弁当を広げて食べることにした。

「すごいな、朝から準備してくれたのか。この量を作るの大変だっただろ」
「昨日のうちに下準備してたので、そこまで大変じゃなかったですよ。この辺とかは焼くだけですし」

野々花の妹と一番上の弟は年子で、お弁当が必要な日のキッチンは戦場だった。高校生の頃から栄養のバランスが整った彩りのいいお弁当をいかに時短で作るかを研究していたため、今ではすっかり慣れっこだ。