本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


父親だと思しき男性は長身で、つい見惚れてしまうような整った顔立ちだった。キリッとした眉と目が印象的だが威圧感はない。どんよりとした天気だというのに、彼の周りは常に澄んだ青空のように爽やさが漂っている。

周囲の女性たちが振り返るほどの美形だけれど、野々花が驚きに声を出せない理由は別にある。

「あれ、宮部さん?」
「しゃ、社長……」

今の今まで気づかなかったが、双子の男の子を連れていたのは、野々花が勤務する会社の若き社長、白河一哉だった。

普段の会社で見るスーツ姿の一哉は隙がなく、デキる男といった硬質な風貌だが、今日のTシャツにデニムというシンプルな私服姿はカジュアルで、前髪も下ろしているためラフな印象だ。

「本当に助かった。あのまま飛び出していたら、どうなっていたか。ありがとう」
「いえ。無事でよかったです」

再び深く頭を下げる一哉に、野々花はぶんぶんと首を横に振る。

まさか休日の公園、それも家を失ったばかりのヨレヨレの状態で自社の社長に会おうとは。