あわや事故という場面に遭遇した衝撃で、心臓が早鐘を打っている。野々花は大きく息を吐き、胸を撫で下ろした。
「……よかったぁ」
男の子はなにが起きたのかわからないといった表情でこちらを見上げている。くりくりの大きな瞳は可愛らしく、驚くほど美形の少年だ。
「引っ張っちゃってごめんね。痛くなかった?」
「んーんっ。いたい、ない」
すると、遅れて駆け寄ってきた男性が頭を下げた。
「申し訳ありません! お怪我はないですか?」
「いえ、大丈夫です。私の方こそ、お子さんを強く引っ張ってしまってすみません」
男の子の小さな手を繋いで立ち上がり、男性の方を向いた瞬間、野々花は驚きに身体を硬直させる。
(えっ……)



