本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


それから十五分ほどして秘書課から相澤の時間が取れたとの連絡があり、チームでミーティングルームへと向かう。そこにはすでに法務課の社員と相澤、そして一哉の姿があった。熱愛報道に関するヒアリングは何度か経験があるけれど、これまで一哉が同席したことはない。

(珍しい、一哉さんも同席するんだ)

驚いて一哉に視線を向けると、彼もまた野々花を見ていた。

自宅でのラフな部屋着の彼とは違い、オーダーメイドのスーツをビシッと着こなし、サイドのボリュームを押さえた適度なツヤ感のある洗練されたヘアスタイルの一哉は、硬質な雰囲気を纏っていて文句なしにカッコいい。

いつもはクールな印象の彼が目元を和らげ、珍しく少しだけ口角が上がっている。視線が絡み合い、ドキッと鼓動が速まった。

(別にやましいことなんてないのに、やたらドキドキしちゃうのはなんでだろう)

たった数時間前まで自宅で一緒にいた一哉とこうして会社で顔を合わせるのは、なんとなく変な気分だった。

(朝から一緒に双子を追いかけ回してたなんて、今の一哉さんからは想像できない……)

一哉の顔を見たら、つい今朝のドタバタを思い出して頬が緩みそうになってしまった。彼も同じなのか、野々花に向けられる視線はいつも会社で見る顔つきよりも幾分柔らかい気がする。