本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


「野々花先輩は悪くないですよ! 後藤さんが僻んでるだけです。なんで副社長のゴシップが野々花先輩のせいみたいに言われないといけないんですか。ああいう嫌みな性格だから社外広報が務まらないんだってなんでわかんないんだろ。相変わらず今日も趣味の悪いネクタイしてるし」
「ネクタイはともかく、俺も同意見です。たしかに週刊誌に副社長が載ると売上が上がるから狙われてる感じはしますけど、そこは俺たちでどうこうできる領域じゃないですし。あの人の的外れな八つ当たりですよ」

八つ当たりと言われればそうなのだろう。後藤は野々花が担当している社外広報チームへの配属を希望していたのだが叶わず、自分よりも三つも年次が下の野々花が社外広報のチーフの座についたのが納得いかないらしい。

「むしろ、野々花先輩がやたら絡まれるのは私のせいもあるでしょうし」
「文乃ちゃんのせいだなんて、考えたこともないよ」

元々、文乃は社内広報に所属していた。けれど女性蔑視が滲む発言の多い後藤の下で働くのは苦痛だったらしく、彼女は異動を希望した。その先が社外広報だったのだ。

「誰のせいでもなく、後藤さんの人格に問題があるんですよ。我慢できなくなったらいつでも言ってください。前も言いましたけど、ああいうタイプは自分よりも弱いと思ってる女性相手にしか威張れないだろうし」
「健先輩にガツンと言ってもらうのも手ですし、なんなら人事に言いつけちゃってもいいくらいだと思います! 私はさっさと抜けちゃったけど、あんな人が上司の社内チームが不憫ですよ」
「ありがとう、ふたりとも。これ以上酷くなるようだったら私も対応を考えるね」

野々花がそう言うと、ふたりは安心したように頷いた。