本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


「週刊誌にうちの副社長のゴシップを載せようなんて、広報がナメられてる証拠なんじゃないのか? これで何度目だよ。ちゃんとメディアを掌握できないからこうなるんだよなぁ。やっぱりまだ宮部さんに社外は早かったんじゃないかぁ?」
「……また後藤さん」

隣から文乃の舌打ちが聞こえてくる。野々花が視線で制すると、彼女は渋々口を噤んだ。

反論がないのをどう受け取ったのか、後藤は勝ち誇ったように笑みを浮かべている。

「まぁ、せいぜい会社に悪影響を及ぼさないように火消ししてくれよ。ついでに我が社の副社長を週刊誌の客寄せパンダにしないよう釘を刺してきてくれるともっとありがたいんだけどなぁ。大事なニュースリリースが芸能ゴシップに埋もれるなんて洒落にならんだろうに」

言いたい放題言った後藤が自席へと去っていくと、向かいのデスクの三柴からも「はぁ、うぜぇ」と苛ついた声がする。

「……なんか、ごめんね。私が不甲斐ないせいでふたりにまで嫌な思いをさせちゃって」

広報としてメディアリレーションズに取り組んでいるつもりだが、熱愛報道の記事に対し下手に動いて余計大事になっても困る。相澤が目立つ存在である以上、広報としてできることは少ない。

けれど週刊誌の熱愛報道が加熱し、技術記事や企業ニュースがそれに埋もれてしまうなんてことがあってはならないのは確かだ。後藤の嫌みを真に受けるつもりはないけれど、一部正論の部分もあるような気がした。