同じくらいの身長に同じ洋服を着た男の子を両サイドに連れた男性の困惑した後ろ姿を、野々花は微笑ましく見つめた。野々花もよくああして弟妹から両手を引っ張られたものだ。
すると、男性の左手側の男の子が彼を見上げ、「おしっこでた!」と元気よく宣言した。
「えっ。ちょっと待って、オムツを替えられるトイレか……どこに――」
男性がトイレを探すため周囲を見渡した、その瞬間だった。
もうひとりの男の子が繋いでいた手を振りほどき、駆け出していった。男の子が飛び出した先には、サイクリングロードがある。
「維月!」
「ダメ、危ないっ!」
野々花は考えるよりも先に立ち上がっていた。卵サンドが転がり落ちるのも構わず、全力で走って男の子の腕を掴んで引き寄せる。強く引いた反動で、野々花は彼を後ろから抱き込む体勢で尻もちをついた。
そのわずか数秒後、目の前をロードバイクが風を切って通り過ぎていく。



