思わず一哉の方を見る。彼も驚いていたようだけれど、すぐに目を細めて微笑んだ。
「みんなを描いてくれたのか。凄いな」
「ありがとう、李月くん。嬉しい」
「へへぇ」
まさか家族の絵の中に自分を入れてくれるなんて思いもしなかった。野々花は心があたたかくなるのを感じながら、ふにゃりと目を細めて笑う李月の頭をよしよしと撫でた。
◇
六月最終週の火曜日。広報課に一本の電話が入り、野々花は朝から慌ただしく動いていた。週刊誌の記者から、相澤ととあるモデルの熱愛報道が載ると連絡があったのだ。
こうした報道は基本的に掲載直前に確認の電話がくるが、紙面に載るのを差し止めるのはほとんど不可能である。今回連絡があったのは毎週金曜日に発売の週刊誌で、記者の話では水曜日に校了するらしい。
こちらにできることといえば、記者がどの程度の情報を持っているのか、写真の掲載があるのかという確認のみ。その情報を元に本人への事実確認を行い、会社としての公式見解を決定して週刊誌へ回答する。



