「いち、これ、おいしー!」
李月がフォークで刺したピーマンを一哉に向ける。
「うん、おいしいな。でも、フォークを人に向けちゃダメだ」
「め?」
「あぁ。危ないからな」
その様子を見て、きっと彼はいい父親になるのだろうなと感心した。感情的にならずに注意するのは、簡単そうに見えて難しい。特に疲れている時はなおさらだ。
一哉が李月に注意しながら食事を進める間にも、維月は今日保育園であった出来事を話してくれる。
「いちゅき、てちゅぼう!」
「鉄棒?」
「そう、ぶらーんって」
「わぁ、凄いね!」
大袈裟なくらいに手を叩いて褒めると、誇らしげに胸を張る維月とは反対に、李月がしゅんと下を向いた。
「りちゅき、こあい」
「ん?」
「てちゅぼう、こあかった」
「そっか。ぶらーんってするの、ドキドキするよね。李月くんは今日、どんなお遊びが楽しかった?」
「おえかき! いちゅきと、りちゅきと、ままと、いちと、ののかいた!」
「……私も?」



