野々花が全員分の朝食を皿に盛り付けると、一哉はなにを言わずともそれらをダイニングテーブルへと運んでくれる。
「維月くんと李月くん、朝も食欲はありますか?」
「あぁ。いつも時間はかかるがしっかり食べるよ。一応、姉に言われた分量を出してるんだが、足りないってたまに泣かれるくらいだ」
「食欲旺盛なんですね。よかった、おいもをふかしておいて正解でした」
朝ご飯は一日の活動のエネルギーになる。たくさん食べてくれるに越したことはない。野々花の真ん中の弟はなかなか朝食を食べてくれず、あの手この手でなんとか食べさせていたのを思い出す。
「あっ、何も聞かずに作ってしまいましたが、社長は普段、朝ご飯を召し上がりますか?」
「いつもは時間がなくてコーヒーも飲んでいられないんだけど、君が作ってくれたなら食べたい」
「ひぇっ……」
思わず変な声が出そうになり、野々花は咄嗟に口を真一文字に引き結んだ。
今の一哉のセリフに深い意味はないとわかっている。相手が野々花でなくとも、せっかく用意してくれたのなら食べるという意味だ。



