異性として意識していないはずなのに、否が応でもドキッとさせられる。魅力的な男性は寝起きの破壊力も凄まじいらしい。
「手伝ってほしいと強引に連れてきたのは俺だが、無理はしないでくれ」
申し訳なさそうに言う一哉に、野々花は微笑んで言った。
「ありがとうございます。でも大丈夫です。おかげさまで、久しぶりにぐっすり眠れました」
「それならよかった」
安心した表情の一哉が、野々花の手元に視線を移す。
「朝食もわざわざ手作りしてくれたのか」
「そんなに手の込んだものは作ってないですよ。スープも昨日の残りですし」
「十分。キッチンから漂う朝食のにおいにつられて起きるなんて久しくなかったから、今日はすごくいい目覚めだ」
そう言う彼は本当に嬉しそうだ。たしかにひとり暮らしをしていると、人の作ったご飯を食べる機会はない。一哉ほどの男性なら、いくらでも料理を作りに来たい女性がいそうなものだが、彼自身がそれを望んでいないのだろう。



