その声音に嘘はなく、むしろ熱が籠もっているように感じる。まるで交際の申し込みかプロポーズのような言葉に、野々花の頬に朱が走った。
(違うから! 維月くんと李月くんのシッターにって意味だから!)
誰にともなく言い訳し、野々花は姿勢を正した。
交際しているわけではない男女が一緒に住むだなんて、やはり非常識なように思う。まして一哉とは友人ではなく、雇用主と従業員という関係性だ。周囲に知られては面倒なことになりかねない。
けれど、野々花は目の前で困っている人や助けを求めている人を放ってはおけない。もうこれは性分なのだと諦めている。
迷いはあれど、野々花の答えは決まった。
「わかりました。どこまでお力になれるかわかりませんが、社長のお姉さんが帰国されるまでの間だけ、なら……」
おずおずと承諾すると、一哉はオフィスでは見せないような柔らかい笑顔を向けてきた。
「ありがとう。すごく助かる」
「いえ。私の方こそ、本当に図々しく居候させていただいていいのでしょうか?」
「もちろんだ。もうネットカフェなんかに泊まらせない」



