本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


「ごめん、紛らわしい言い方をしたな。君と解雇したシッターが違うのはわかってる。そうじゃなくて、宮部さんは魅力的な女性なんだから、勘違いする男がいるってことをきちんと理解しておいた方がいい」
「……へ?」

野々花が想像したような勘違いをされていなくてホッとしたが、逆によくわからない心配をされている。

野々花に恋人はいないし、過去に一度もいた経験がない。そんな自分にとって、一哉の忠告は無用の長物だ。

「いえ、そんなことは」
「ほら。そういう無自覚なところが危なっかしいっていう意味だよ。でも、お言葉に甘えさせてもらう。キッチンや冷蔵庫にあるものは好きに使ってくれて構わない。とりあえず双子に食べさせるものだけ頼んでいいか? アレルギーは特にないから」
「は、はい」

一哉はふっと笑って野々花の頭をぽんと撫でると、双子を連れてバスルームへと向かった。楽しげな彼らの背中が見えなくなると、野々花は一哉が触れた頭を両手で抱えて蹲る。

(やっぱり、社長に言い寄ったベビーシッターさんだけを責められないと思います……!)

職場では硬派でキリッとした印象の一哉だが、プライベートでは随分とくだけた雰囲気になるらしい。顔面国宝のような彼に親しげに接されては、勘違いする女性が出てきても不思議ではない。