競うように靴を揃えたふたりを、大袈裟なほどに褒める。
「わぁ! 仲良しに並んでる。お靴が嬉しいって言ってるよ! じゃあ、次はお手々を洗いたいんだけど、どこだろう? お手々洗う場所を教えてくれる人ー」
「はーいっ!」
野々花は自分の弟妹にしていたように脱ぎ散らかした靴を揃えさせると、洗面所に行って手洗いうがいをさせようと、ちらりと一哉を見上げた。
「あの、洗面所をお借りしてもいいでしょうか?」
「もちろん。今のやり取りを見て、ますます宮部さんを逃がしたくなくなった」
微笑む一哉に見つめられ、野々花は頬が熱くなるのを感じた。
双子のベビーシッターとして協力してほしいという意味だとわかってはいるけれど、一哉のような端整な顔立ちの男性から『逃がしたくなくなった』などと言われると、勝手に鼓動が速まってしまう。
(これは、社長に想いを寄せたシッターさんだけを責められないのでは?)
女性を口説く意図はないとわかっている野々花でさえドキッとしたのだ。雇っていたシッターにも同じように気さくに接していたのなら、好意を抱かれても仕方がないような気がする。



