本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


そのまま双子を後部座席のチャイルドシートに乗せ、車は一哉の自宅へ向けて出発した。

「本当に子供の扱いに慣れてるんだな」
「うちの弟も、保育園の帰りは園庭で遊びたがったりして大変だったんです。別の楽しい提案をしてあげると、言うことを聞いてくれたのを思い出して」
「助かるよ。いつも車に乗せるだけで一苦労だったから」

そこで、野々花はふと我に返った。流されるままついてきてしまったが、まだ彼の提案を受け入れたわけではない。

双子の世話を手伝う代わりに、自宅の空いている部屋を貸してもらう。双方に利点のある合理的な提案に思えるが、相手が恋人ではない異性であり、さらに自社の社長となればどうしても躊躇ってしまう。

(どうしよう。さすがに一緒に住むっていうのはおかしいよね……?)

悶々と考え込んでいる間に、車は一哉の住むマンションへと到着した。

天までそびえ立つような超高層タワーマンションだったらどうしようと戦々恐々としていたけれど、窓からちらりと見えた外観は三階建ての低層マンションだった。

意外と庶民的なのかも?と安堵したのも束の間、地下の駐車場から乗ったエレベーターが一哉の部屋専用エレベーターだと知り愕然とする。