一哉の不機嫌そうな表情を見て、野々花は納得しつつ同情めいた気持ちを抱いた。
彼はどこにいても周囲の目を惹く端整な容姿をしている。その上、業績が右肩上がりのIT企業の社長。シッターを頼んだ事情を聞いて独身だと知るやいなや、目の色を変えたのだろう。
双子の世話を頼みたくて雇った女性が育児そっちのけで自分に秋波を送ってきたら不愉快になるのも当然だし、新たにシッターを雇うのに慎重になるのも理解できる。女嫌いの噂が本当なら、なおさらだ。
(モテる人にはモテる人なりの苦労があるんだなぁ)
野々花がしみじみそんなことを考えていると、一哉はさらに言い募る。
「宮部さんなら、そんなことにはならないだろう? ふたりは初対面の男性を怖がるらしくて、男性のシッターは頼めないんだ。先日の様子を見るに、維月は君に懐いていそうだった。どうか力を貸してもらえないか?」
正面から見つめられたまま懇願され、野々花はたじろいだ。



