本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


「写真にふたりのお子さんが載っていましたよね。とても可愛らしく、白河社長に似ているといった印象を受けたのですが、彼らは白河社長とどういった関係なのでしょうか」
「甥です。姉の子供なので、似ているのも不思議ではありません。実際、よく似ていると言われますね」

一哉が穏やかに答えた。

たしかに双子は一哉とよく似ている。野々花も初めて会った時は隠し子だとパニックになったくらいだ。それもあって記者は親子関係だと革新し、事実確認を怠ったのだろう。とはいえ、ジャーナリストとしてあるまじき姿勢だ。

「報道では結婚間近の女性の名前も出ていましたが、その女性とはどういった関係なのでしょうか」
「我が社では、彼女の父親が経営する会社と以前まで取り引きがありました。それ以上でも以下でもありません。結婚の話どころか、交際していた事実もありません」
「ですが、火のないところに煙は立たないと言いますよね。それを証明することは可能ですか?」

あるものを証明するのはともかく、ないものを証明するのは極めて困難であり、〝悪魔の証明〟とも呼ばれる。それを知っていてこうした質問を投げかけてくるなんて、いくら仕事とはいえ相当意地が悪い。野々花は思わず顔をしかめた。

しかし、一哉はそういった質問も想定内だと言わんばかりに、「はい、可能です」とこともなげに頷いた。