一哉は「野々花の人望の厚さだよ」と微笑む。
たしかに社外広報として、他部署との連携は多い。情報発信のリーガルチェックとして法務部の力を借りることもあれば、新サービスの詳細を確認するために開発部ともやり取りがある。そうして一緒に働いた人たちが、記事を読んで事実無根だと信じてくれるのは嬉しい。
「俺も、君がそばにいてくれるだけで頑張れる。野々花の存在が、俺に力をくれるんだ」
「一哉さん……」
「巻き込んでごめん。でも、俺はもう野々花を手放せないんだ。君が俺の婚約者だと、唯一の女性だと、世界中に宣言してもいいか?」
懇願するように、彼が再び野々花を抱きしめ、首筋に顔を埋める。そのくすぐったさに身を捩りながら、そっと一哉の背中に腕を回した。
当事者として記事に載った以上、広報として表に出ることはできない。けれど、一哉の恋人として彼を支えることはできるのだ。



