本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


「そういうのも含めて会見で釘をさすつもりだが、誰がなにを仕掛けてくるかわからない。だからあと数日、野々花にはここにいてほしい」
「……わかり、ました」
「槇原さんが以前いた会社で経験があるらしくて、彼が取り仕切ってくれてる。野々花の後輩の小瀧さんや三柴くんも動いてくれてるよ。だから、なにも心配しなくていい」

野々花が社外広報を担当するようになって以降、ネイバークリプトが記者会見をしたことはない。どのくらいの事前準備が必要なのかもわからないが、それに一切携われないというのはもどかしい。

そんな野々花の心情を察したのか、一哉はなだめるように背中をトントンと優しくたたいた。彼の穏やかな声音に、素直な気持ちが零れ落ちる。

「本当は……悔しいです。一哉さんや会社のみんなが土日返上で働いているのに、私だけ力になれないなんて……」
「うん。でも、野々花が力になれてない、なんてことはないよ」
「え……?」
「うちの社員の大半が記事に信憑性はないとわかっているようだ。それに対策チームはみんな、普段野々花が仕事で関係性を築いてきた者ばかりだろう。会議のあと、君が謂われない中傷を受けて怒っていた。それが原動力となって、驚くほどスムーズに準備が進んでるよ」