そんな野々花を労るように、一哉は抱きしめる腕にさらに力を込めた。
「ごめん、嫌な思いをさせた。勝手に写真を撮られた上に好き勝手書かれて、怖かったよな。でも、週明けには落ち着くはずだ」
ひとしきり泣いたあと、野々花は顔を上げて彼の話を聞いた。美月の予想通り、一哉は最短で記者会見をしようと準備しているらしく、この土日は会社へ泊まり込むことになるという。
「会社に、ですか?」
「あぁ。マンション前には数人だがカメラマンが張ってたからな。たぶん、例の記事を書いた媒体だろう」
野々花の目の淵に残った涙を拭いながら、一哉は頷いた。
記者が張っているというのなら、一哉のマンションへ帰宅すれば絶好のシャッターチャンスを与えてしまうことになる。それは悪手であるし、野々花だって避けたい。



