美月の運転する車でやって来たのは、いつだったか一哉と訪れた百貨店。あの時と同じように、美月は有無を言わさず野々花の数日分の着替えを購入した。
「あっ、あの、待ってください」
「心配しないで。これでも大学生の頃はモデルもしてたの。センスは悪くないはずよ」
「そこは一切心配してないです。そうじゃなくて、こんなに買っていただくわけには――」
「二ヶ月間、うちの子たちの面倒を見てくれたんでしょう? 報酬と思って受け取って」
そう告げると店員から受け取った大量のショップバッグを持ち、颯爽と店を出ていってしまう。野々花の脳裏に『女帝』の言葉が思い浮かぶ。
(こういうところ、姉弟そっくり……!)
その後、連れられてきた彼女の自宅は、双子を預けている保育園から車で十分もかからない距離にあるマンションの一室で、間取りは3LDK。一哉のマンションほどではないけれど、母子が住むには十分な広さだ。
「私は父が嫌いだけど、唯一感謝してるところはお金の増やし方を教えてくれたところね。そのおかげで好きなことを仕事に出来ているし、維月と李月に不自由をさせないで済んでるんだもの」



