本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


それから約一時間後。槇原と後藤が広報フロアに戻ってきた。

後藤はなぜかじろりとこちらを睨みつけているが、そんな些細なことは気に留めていられないくらい、会議がどう決着がついたのかを知りたい。槇原に手招きされ、彼のデスクに歩み寄る。

「記事は差し止めの仮処分の申立てをすると決まった。すべて事実無根だという証拠が揃えられると社長がおっしゃっているし、日時は未定だが記者会見を開くことになった」
「記者会見?」
「あぁ、副社長の発案だよ。どうせなら社の名前を売ろうという思惑らしい。前面に出るのを嫌われるから取り合わないかと思ったんだが、社長は早く片をつけたいんだろう。自身で会見をするそうだ」

あれほど頑なに顔出しNGを貫いていたのに、まさか一哉本人がわざわざ記者会見をするなんて。野々花は驚きと戸惑いで言葉を発せなかった。

そんな野々花の様子を見て、槇原が穏やかに笑った。