自嘲した笑みを浮かべようとしたが、表情は歪み、声は震えている。
「本当は……怖くて堪らないの。知らないうちに写真を撮られていたことも、その写真が嘘の情報と一緒に拡散されていることも。それに、この件が会社に影響を及ぼしたらって考えただけで、私……」
「大丈夫です! 少なくとも、うちの社員たちは捏造記事だってちゃんとわかってますから。野々花先輩に対する誹謗中傷みたいな記事に、広報部はみんな怒ってますよ」
「所詮三流のゴシップ誌ですからね。取り引き先だって鵜呑みにするほどバカじゃないはずです」
今もミーティングルームでは記事の差し止めや配信停止の手続きを行っているだろう。もしかしたら名誉毀損などで訴える可能性もあるのでは、と三柴は続けた。
「たしかに、あの社長の溺愛ぶりなら、出版社ごと徹底的に潰しにかかりそうです! 野々花先輩はなにも心配することないと思いますよ」
「で、溺愛って……」
「宮部さん、前は付き合ってないって言ってましたけど、今のふたりは恋人同士なんですよね? だったら堂々としていればいいと思います」



