本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


『誰かに頼るのが苦手な君を甘やかす役目を、俺にくれないか』
『俺が君を守りたい。だから遠慮なく、なんでも言ってほしい』

彼は有言実行で、いつだって野々花を甘やかしてくれている。実家に来てくれたのもそうだ。騒がしい弟妹に嫌な顔をせず、家族を安心させるように言葉を尽くしてくれた。

今もきっと、いかに会社の益を損なわずに野々花の名誉を守れるのかを考え、対応策を練っているはずだ。そう信じられるくらい、一哉は日頃から野々花を大切に想っていると言動で示してくれている。

けれど、やはり不安はなくならない。縋るように自身のスマホを見ると、メッセージの受信通知が来ていた。送信者は、たった今野々花が思い描いていた相手だ。

【厄介事に巻き込んでごめん。でも俺は一生、野々花を手放すつもりはない。必ず守るから】

会議中は必死に我慢していた涙がじわりと瞳に浮かび、メッセージの文字を揺らした。送信日時を見ると、会議が始まるほんの十分ほど前。考えなくてはならないことが山のようにある中、野々花への気配りをわすれずにいてくれた一哉に、胸がぎゅっと締め付けられる。