けれど、今ほど嫌悪感を覚えたことはない。記事の内容に目を通すと、さらに酷い内容だった。一哉は亜沙美と野々花を天秤にかけているかのように書かれており、普段取材を受けない傲慢さを批判されている。
野々花についても社長に気に入られたために役職がついていること、それに見合った仕事ができていないこと、さらに子供を盾にとって玉の輿を狙っているなどと事実無根の話が並んでいた。
この記事を執筆した人物の名前には見覚えがあった。以前、一哉の顔写真を載せるよう強要してきたビジネス誌の男性記者だ。当然断ったのだが、インタビュー後は突然担当が代わり、記事を書いてくれたのは別の人物だったため、あれ以来面識はない。
相澤は会議の冒頭、『一哉に振られたお嬢様と、彼に逆恨みしている記者が結託して、証拠の裏付けもなにもない嫌がらせの記事を出してきたらしい』と言っていた。
まさか、一哉の写真掲載を断ったのを根に持っているとでも言うのだろうか。
(だからって、事実に反することばかりの記事を載せるなんて……)
あのデタラメな記事が載った雑誌が全国各地で販売され、さらにはネットにもアップされる。なんらかのきっかけで拡散、炎上などということになれば、会社に取り返しのつかない損害が出る恐れがある。



