本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


そのため、写真込みでの取材依頼の場合はすべて相澤に受けてもらうことになる。必然的にメディア対応は相澤の役割になりつつあり、野々花との打ち合わせの回数も多い。副社長などという雲の上の肩書きを持つ上司と会話するのも多少慣れてきたところだ。

「では、今回の先方の特集テーマですが――」

依頼を受けた特集テーマに関する受け答えはもちろん、会社として取材を通して伝えたいメッセージを明確にし、想定質問と回答方針の確認、リスク管理とNG事項の把握、さらに当日の流れまでを綿密にチェックしていく。

「取材と撮影はミーティングスペースで行いますが、オフィスの様子も載せたいそうです。こちらは社内広報チームにも共有して、社員のみなさんに通知してもらいます」
「オッケー、だいたい把握した。あとは当日好き勝手喋るから大丈夫」
「……あまり好き勝手されると困りますよ?」
「野々花ちゃんたち、いつもちゃんと記事の事前確認してくれるじゃん。ダメだったらばっさりカットしていいから」

適当なのか信頼してくれているのかわからないが、相澤は軽い口調で言った。

念を押したものの、相澤が経済誌の取材で迂闊な話をしたことなど一度もない。たった十年ほどで多くの個人トレーダーや金融機関から信頼を得るシステムを確立したのだ。有能に違いないし、とてつもなく頭が切れる。