正論を口にしているようで、彼の言葉は悪意に満ちていた。後藤は意見を述べていながら、その高圧的で勝ち誇った視線は野々花に向けられている。
以前彼女との噂が立った時期に、野々花が働きにくくならないよう根回しをするため広報部に顔を出したことがあった。その時に後輩の女性社員から、野々花に対し頻繁に嫌みを言う同僚がいると聞いた。その後、野々花やチームのメンバーが言い返したことで落ち着いたらしいが、その相手がこの後藤という男なのだろう。
しかし後藤の発言は一理ある。今回報道された当事者は一哉と亜沙美、そして野々花の三名だ。一哉が社長を務める会社から出されるコメントを野々花が担当していては、利益相反ととられる恐れがある。
すると、広報部部長の槇原が野々花に尋ねた。
「宮部さん。先ほどの社長の説明に間違いありませんか?」
「はい」
「わかりました。君の立場でこの会議に参加するのは辛いものがあるだろう。それに、やはり当事者が前面に出るのは適切ではない。今回の件から、宮部さんのチームは外れるように」
「……はい」



