本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


当然、会社としてもここまで書かれてしまってはなんらかの声明を出すべきだ。それと同時に出版・配信の差し止めの仮処分を申し立て、告訴も辞さない構えだと説明する。

すると、ひとりの社員がガタンと立ち上がった。社内広報チーフの後藤だ。

「ひとつよろしいでしょうか。社長は事実無根だとおっしゃいましたが、この写真に写っているのは宮部チーフですよね。社内にはふたりが特別な関係だという噂もありますが、宮部とはどういった関係なんですか? 記事には社長に気に入られたからチーフの座についたともあります」

後藤の言葉を聞いた野々花は、きゅっと唇を噛み締めた。一哉はそんな彼女を安心させるべく、言葉を選びながら口を開く。

「私事で社内を騒がせて悪いが、宮部さんと結婚前提の交際をしているのは事実だ。君の言う通り、この写真に写っているのも彼女だ。だが、それは個人的な付き合いであり、なんら責められるものではない。むろん、彼女が社外広報のチーフになったのも彼女の実力ゆえだ」
「しかし、交際をしているのなら無関係とは言い切れませんよね。記事に書かれている当事者ですから。経営陣でもない一社員の当事者が、この危機対応会議に出席することに疑問を感じます。対外的にも、我が社の社員にも、客観性のある説明が難しいのではないでしょうか」