本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


一哉はスマホを取り出し、野々花にメッセージを送る。それをすぐに彼女が見るかどうかはわからないけれど、こちらの気持ちを伝えておくべきだと思った。

そうして集められた危機対応チームの中には、法務部と広報部の両部長と、臨床法務の各チーフ、社内広報チーフの後藤、社外広報チーフである野々花もいる。彼女は他の社員たちと同様に、なにが起きたのかわからず不安そうにしている。その様子を見る限り、一哉のメッセージはまだ読んでいないのだろう。

「突然集まってもらって申し訳ない。まずはこれに目を通してもらいたい。今日発売の週刊誌の記事だ」

集まったメンバーが記事を目にした瞬間、場に緊張が走った。野々花に至っては、可哀想なほど顔面蒼白になっている。

「先に事実を言っておく。この記事は事実無根だ。益田社長の娘との縁談は断っているし、俺に隠し子もいない。写真に写っているのは俺の姉の子供だ」
「どうやら一哉に振られたお嬢様と、彼に逆恨みしている記者が結託して、証拠の裏付けもなにもない嫌がらせの記事を出してきたらしい。記事の中にうちの社名はないとはいえ、読めばわかる人間にはわかる。完全に名誉毀損だ。徹底的に潰さないとね」

一哉と相澤の説明を聞いた一同は、なんとも言い難い表情をしている。それはそうだろう。一社会人が嫌がらせで事実無根の記事を載せるなど、真っ当な人間には理解し難い思考回路だ。