この業界は信用で成り立っている。益田証券とは付き合いが長いが、不正に手を染めた企業と取引を続けるのは、こちらも不利益を被りかねない。
一哉は益田との契約を解除すると、大手証券会社の副社長である父親のツテを使い日本証券業協会に働きかけ、その実態を把握するように動いた。
その結果、大物政治家からSESCに圧力がかかっていたことが判明したのだ。
「あなたにも心当たりがあるのでは?」
「……意味がわからないわ」
「それならそれで結構です。もう二度とここへは来ないでいただきたい。煙のないところに火を立てられるのは御免ですから」
早々に立ち上がった一哉を見て、亜沙美は唇を噛み締めたまま睨みつけてきた。
「私をバカにして、このままで済むと思ったら大間違いよ! 覚悟しなさい!」
彼女が捨て台詞を吐いて出ていった数日後、週刊誌にとある記事が掲載された。



