本日より、弊社社長と疑似子育て始めます



野々花の実家へ挨拶に行った日から十日ほど経った。

彼女との交際は順調のひと言に尽きる。以前はなにをするにも双子を介していたものが、今は野々花とふたりきり。食事をするにも買い物に行くにも彼女をひとり占めできる。

なにより、夜は一哉の寝室で一緒に眠るようになった。これまでは双子を寝かしつけ、リビングで他愛のない話をしたあとはそれぞれの部屋で休んでいたのが、今は彼女を胸に抱いて一日を終えることができる。まさに至福の時間だ。

プライベートが充実すると、仕事にも一層身が入る。相澤から『愛の力ってすごいなぁ』などとからかわれつつ、一哉はこれまで以上に精力的に仕事をこなしていた。

「一哉さん! 私の話、ちゃんと聞いてますか?」

亜沙美から甲高い声で詰られ、顔を顰めたい衝動をなんとか堪える。アポイントも取らずに会社に押しかけておいて、なぜこうも傲慢な振る舞いができるのか理解に苦しむが、こちらからも言いたいことがあったのでちょうどいい。