本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


出迎えてくれた野々花の母の香織は、年相応のおっとりした女性だった。野々花と変わらない背丈ながら、穏やかに微笑むその表情は包容力に溢れ、母性という言葉を体現したような人だと思った。

娘をあたたかく出迎えた彼女は、一哉に向き直る。

「遠いところまでようこそ。野々花の母です」
「先日はお電話で失礼しました。白河一哉と申します。本日は急にもかかわらずお時間をいただき、ありがとうございます」

改めて自己紹介をして頭を下げた。立場上、初対面の相手と話すことも多いし慣れている。けれど愛する女性の家族に会うのは初めてで、柄にもなく緊張していた。

「まぁ! 想像していた以上にカッコよくて、なんだか照れちゃうわね」
「お、お母さん……!」
「疲れたでしょう? どうぞ、上がって。お昼ご飯を準備してるから、よかったら一緒にいかがですか?」
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えてもよろしいでしょうか」
「ええ、もちろん。ちょっと騒がしいかもしれませんが、そこはご愛嬌と思っていただけたら」