こんなにも幸せな朝があるのだと、一哉は初めて知ったのだった。
◇
ふたりが気持ちを通じあわせてから、二度目の週末。
一哉は野々花とともに上越新幹線のグリーン車へと乗り込んだ。電動のリクライニングシートに感動している彼女は可愛らしく、つい頬が緩む。
この日、一哉は野々花の実家へと向かっている。発端は昨夜の会話だった。
『いつも維月と李月が一緒だったけど、明日は初めてのふたりきりのデートだ。野々花だけを思いっきり甘やかしたい』
なにか欲しいものや、したいことはないかと聞いたが、元々欲のない野々花には難しい質問だったらしい。それでも根気よく彼女の希望を探った結果、『実家に顔を出したい』という願いを聞き出せたのだ。
『この前電話した時に、どれだけ母に心配をかけていたのか身に沁みてわかったので。顔を見せて安心させてあげたいなって。一哉さん、よかったら一緒に来てくれますか?』



