本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


特に一哉が警戒しているのが、野々花と同じ社外広報チームにいる三柴健だ。彼は今時のスタイリッシュなルックスに、的確な判断能力と高い文章力を持つ優秀な広報だ。社内の女性社員からも人気があるらしい。

そんな彼もまた野々花に惹かれている男のひとりで、仮にも社長である一哉に対しても怯まず敵意を向けてきた。きっとシッターを頼むのと引き換えに、火事で家を失った野々花を自宅に住まわせたという経緯を聞いたのだろう。

けれど、どれほど様々な男たちから想われていようと、彼女はもう自分のものだ。

美月が一週間も早く帰国したのは予想外だったが、一哉にとっては幸運だった。双子と離れて寂しがっている野々花には悪いが、ようやく気持ちを通じ合わせることができたのだ。

抱きしめる腕に力が籠もる。すると、野々花が「んん……」と身動ぎしながら、ゆっくりと目を開けた。

「おはよう。悪い、起こしたか?」

まだ六時前だ。双子が自宅に戻ったため、日曜の朝らしく寝坊してもなんら問題はない。