翌朝。一哉が目を覚ますと、腕の中には寝息を立てている野々花がいた。
昨晩は随分と疲れさせてしまったのか、いまだ起きる気配のない彼女をそっと抱きしめる。無防備な寝顔は愛らしく、ようやく野々花を手に入れられたのだと実感できた。
(可愛いな)
野々花に気持ちを伝え、受け入れてもらえた。一哉がずっと待ち望んでいたことがようやく叶ったのだ。
双子のシッターとして同居を提案した以上、その期間は不埒な真似はできない。相澤あたりが聞けば「真面目か!」と呆れた顔でツッコみそうだが、一哉なりの誠意の示し方だった。
それでも野々花を繋ぎ止めておくため、彼女の母親や周囲に『結婚前提の同棲』などと言い外堀を埋めていった。
本人は無自覚だが、彼女は多くの男性から好意を寄せられている。社外広報という仕事柄、自社の社員だけではなく多くの人間と関わりがあるが、各方面から『ネイバークリプトの美人広報』というワードが聞こえてくる。人目を引く派手な見た目というわけではないが、真摯な仕事ぶりと時折見せる柔らかな笑顔に男たちは惹きつけられるのだ。



