本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


「……野々花先輩が気にしなくていいって言うから我慢してますけど、めちゃくちゃ腹立つ! いっつも部長が席を外してる時に言ってくるのも陰湿だし、あのダサいネクタイ締め上げてやりたいんですけど!」
「ああいうタイプは男が言い返すと萎縮しますよ。そろそろガツンと言ってきましょうか?」

小声で告げてくるふたりの剣幕に、野々花は思わず笑みを零した。

「ありがとう。でもいちいち気にしてたら負けだよ。放っておこう」
「本当に大丈夫ですか?」
「なにかあったら、ちゃんと私たちに言ってくださいね。野々花先輩、自分はすっごく頼りになる世話焼き気質なのに、逆に誰かに頼ったり甘えたりするの苦手そう」

文乃にズバリ言い当てられ、肩を竦める。

「ありがとう。後藤さんの嫌みはもう慣れたから大丈夫」

実際、度重なる嫌みにストレスは感じるものの、実害はない。笑ってそう言うと、ふたりは渋々ながら仕事を始めた。

午前中はメールチェックやタスクの確認、新聞や雑誌に目を通して金融業界や競合他社の情報を仕入れるなど、細々した仕事であっという間に時間が過ぎていく。