本来ならもうしばらく休んで部屋を片付けたいところだが、今日は大切な打ち合わせがあるのだ。
「えっ、なにかあったんですか?」
「うん、ちょっとね。でも今日は――」
「あーあ、いい身分だよなぁ。俺なんてチーフになってからは月曜に有給なんて一度も取ったことないけど」
聞こえよがしに嫌みを放つのは、野々花たちのと同じ広報部の後藤だ。
天然パーマなのか前髪までクルクルの黒髪に、開いているのかわからないほど細い糸目が特徴的な彼は社内広報チームのチーフを務めており、なにかと野々花を目の敵にしてチクチクと嫌みを言ってくる。先週の金曜日に『金曜なのにデートする相手もいないのか』と言ってきたのも後藤だった。
「週明けなんて一番確認することが多いはずなのになぁ。これだから、なにかと自分の感情や事情を優先したがる女は管理職に向いてないんだよ。そのうち産休だ育休だって身勝手なことを言い出すぞ」
こうした発言は日常茶飯事で、毎回言い返していては職場の雰囲気が悪くなるし相手をするだけ馬鹿らしい。そう思って放置しているのだけど、後輩ふたりの意見は違うらしい。



