「野々花!」
息を切らせて入ってきた一哉は、美月の姿を認めると思いっきり顔をしかめた。
「姉さん、いくらなんでも急すぎる。帰国は来週のはずだったろ」
「予定が変わったのよ。仕方ないじゃない、日本に着いてからしか連絡できなかったんだもの」
「ったく、相変わらずだな。まぁ、無事でよかったよ」
一哉は飄々と肩を竦める美月をひと睨みすると、一哉は申し訳なさそうに野々花に向き直った。
「ごめん、野々花。驚かせたよな。姉さんからのメールを見て急いで帰ってきたんだけど、間に合わなかった」
たった今まで話していた内容が内容だけに、彼の顔を見るのが無性に恥ずかしい。美月の面白がる視線もビシビシ刺さっている気がする。
「い、いえ。それよりお仕事は大丈夫でしたか?」
「あぁ。打ち合わせが思った以上に順調に進んで、早めに解散したんだ。維月と李月は?」
「ぐっすりお昼寝中です。もうそろそろ起きる時間かも」
ふたりの様子を見た美月は、わざとらしく片眉を上げて笑った。



