本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


『ほら、写真撮るから笑って。奥さん』

同時に、周囲の人たちから夫婦だと勘違いされた際に見せた一哉のイタズラっぽい笑みを思い出し、野々花は慌てて思考を中断し目の前の美月に意識を向けた。

「実はこの日、他の家族連れを見た維月くんと李月くんがママを恋しがって泣いてしまって。でも一哉さんが、必ずママはふたりの元に帰ってくるからって抱きしめてあげたら安心したみたいでした」
「……一哉が? 預けておいてこんなことを言うのはアレだけど、あの子がそんなふうに維月と李月に寄り添ってくれたなんて驚きだわ。私が命令したから嫌々預かってくれたものだと」
「いえ、嫌々なんてことはなかったと思います。一哉さん、面倒見がいいですし、甲斐甲斐しいですよね。それに、すごく優しいです。ふたりをとても可愛がっていましたし、やんちゃぶりに振り回されてるのも微笑ましかったです」

育児に慣れないながらも双子に愛情を注ぎ、叱るべきところはきちんと叱っている。そんな一哉を見て、きっといい父親になるだろうと考えたのは一度や二度ではない。

そう告げると、美月はにんまりと口の端を上げた。

「宮部さん……いえ、野々花ちゃんと呼んでもいいかしら?」

野々花の返事を待たず、私のこともぜひ美月って名前で呼んでねと告げて、彼女は続けた。