一哉への気持ちを自覚した今、彼に対して好意を抱いていないと嘘はつけない。双子をダシに言い寄ったりはしていないけれど、ここを出て行きたくないと思っているのは事実だ。
「でも維月くんと李月くんには、私にできる限りのことをしたつもりです。保育資格を持たない私に言われても信用ができないかもしれませんが、これを受け取っていただけますか?」
野々花はキッチンに置いていたノートを美月に手渡した。表紙をめくり、中身を読んだ美月は驚きに目を見張る。
「これ……、全部あなたが?」
「はい。ふたりが口にしたものをすべて書いてあります。少しでも安心していただきたくて」
野々花がここへ来た日の夕食から、双子が家で食べたものと量をすべてノートに記録していた。万が一体調を崩した時に役に立つと思ったのと、帰国した美月に渡したかったからだ。
二ヶ月間離れていて寂しかったのは、双子だけではない。きっと美月だって身を切られるほど寂しかったに違いない。離れていた期間、ふたりがどう過ごしていたのかを感じられるように、写真や動画だけでなくこうした記録もあった方がいいのではと考えたのだ。
そう伝えると、美月はこれまでの表情を一変させ、優しい表情で微笑んだ。



