野々花の話を聞きつつも、美月は逸る気持ちを抑えきれないといった様子で足早にふたりの元へと向かった。
「維月、李月……」
彼女は双子のそばに膝をつくと、ぐっすり眠る維月と李月の額を交互に撫でる。二ヶ月ぶりに我が子に会えた感動を噛み締めているその様子に、野々花もまた胸が締め付けられた。
まだふたりは起きないかもしれないけれど、しばらく親子だけにしてあげよう。野々花は気配を消してそっとキッチンへと戻り、美月のために冷たい麦茶を用意した。
(今日の夕食、もしかしたらふたりの分はいらなくなっちゃうかも)
維月と李月は二歳という幼さで二ヶ月もの間、母親と別々に暮らしていた。その母親が帰ってきたのだから彼らの自宅へと戻るのが当然だし、とても喜ばしいことだ。目を覚ました双子が美月を見て喜ぶ姿を想像するだけで涙腺が緩む。
どれだけふたりが人懐っこく、野々花を慕ってくれていたとしても、母親には勝てないのだ。
「ありがとう。お茶を淹れてくれたのね」
ダイニングテーブルについた美月に声を掛けられ、野々花は再びキッチンから出た。



