本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


緩やかなウェーブのかかった艶やかな長い黒髪はひとつでまとめられ、長い手足に美しい立ち姿はモデル顔負けのスタイル。なにより彼女には他を圧倒するほどのオーラがあった。なにを言わずとも、彼女が一哉の姉であり双子の母であろうことは明白だった。

(白河家の遺伝子って本当に強い……!)

彼女は戦地取材に行っていたと聞いている。おそらく空港から直接やって来たのだろう。服装は至ってシンプルで、メイクもほとんどしていないように見える。にもかかわらず形のいい眉と猫を想起させる切れ長の目元が特徴的で、美しさは隠しきれていない。

彼女はリビングに呆然と佇む野々花を目にとめると、驚いたように眉を上げた。

「あら、シッターさんかしら? 初めまして、維月と李月の母の白河美月です。一哉にはこれから行くって連絡したのだけど、返信がなかったから勝手に入ってきちゃったの。驚かせてごめんなさいね」

思わず見惚れてしまった野々花は、慌てて頭を下げる。

「初めまして。宮部野々花です。一哉さんに頼まれて、維月くんと李月くんのお世話をお手伝いさせていただいています」
「維月と李月は?」
「リビングでお昼寝しています。三十分も経っていないので、まだぐっすりで」