本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


野々花が渡したプレゼントを嬉しそうに眺める目の前の彼が、他の女性と結婚しようとしているなんて考えたくない。

けれど「本当に亜沙美さんとの縁談が進んでるんですか?」と聞けないのは、今のこの生活が終わりを迎える日がくるのが怖いから。

今は不安から目を逸らしてでも、三人と一緒に過ごせる毎日を大切にしたい。

「夕飯のビーフシチューも本当に美味しかった。ありがとう」

何度もお礼を伝えてくれる一哉にくすぐったく感じながら微笑み返す。

「喜んでもらえたのなら、よかったです」
「野々花の誕生日は四月だったか。来年、楽しみにしてて」

ふいに言われた言葉に、野々花はハッとする。

当初予定していた同居生活は、残り三週間ほど。それは一哉も理解しているはずだ。

(来年の私の誕生日も、一緒にいられると思っていいの……?)

息を詰めて彼を見つめると、一哉はその視線を受け止めたまま野々花の手を取り、指先にそっと触れるだけの口づけを落とす。

「あっ……」

思いがけないキスに吐息を漏らす。一哉は見惚れるほど美しい笑みを浮かべると、「約束だ」と囁いた。