本日より、弊社社長と疑似子育て始めます


(私……一哉さんが、好き)

自覚すると、その想いは一層膨らんでいく。

いつからなのか明確にはわからない。職場とは違い家ではよく笑うところも、時に野々花をからかうような言動も、双子に向ける慈愛に満ちた表情も、体調を崩した野々花に頼っていいのだと諭してくれた包容力も、言い出したらキリがないほど一哉は魅力に溢れている。

そんな彼と一ヶ月も寝食をともにしているのだ。惹かれないわけがない。

そして彼もまた、野々花と同じ気持ちでいてくれるのではないかと勘違いしそうになる。熱い眼差しに、野々花を呼ぶ甘い声音に、彼の想いが込められているのではないかと期待してしまうのだ。

そんなはずはない、この同居の理由を思い出しては自惚れてはダメだと否定するけれど、一哉の瞳に見つめられるたびにまた期待して、の繰り返し。

恋愛初心者の野々花にとって、認めたばかりの恋心を打ち明けるのは難易度が高い。自社の社長であるのと同時に、彼は好意を寄せてこないベビーシッターを探していたのだから。その上、今は秘密裏に亜沙美との政略結婚の話が進んでいる可能性まである。