妹と一番上の弟は年子だけれど、彼ら以外はみんな六、七歳の差がある。そのためケンカをした記憶はほとんどない。
「野々花が大切にしているご家族に会ってみたいな」
「騒がしいだけですよ?」
「いつか、紹介してくれるか?」
見上げた先の一哉の瞳に捕らわれ、思わず息をのむ。
(また、この目……)
なんてことのない雑談をしていただけだったのに、呼吸がままならなくなるほどの甘い視線にたじろいだ。
一哉の雰囲気が変わったと感じるようになったのは、いつからだっただろう。
同居当初から、オフィスでの硬質で隙のない印象とは違う世話焼きな一面に驚かされたし、女性を勘違いさせてしまいそうな言葉のチョイスをする彼にドキドキさせられることもあった。でもそれは、野々花が男性に免疫がないせいだと思っていた。
けれど、ここ最近は向けられる眼差しに甘やかな熱を感じることがある。もっと言えば、野々花を見つめる瞳の奥にある熱を、敢えてこちらに気付かせようとしているように感じるのだ。



